香港の老舗の日刊紙、新報が休刊したと発表されたのが3ヶ月前。
参考ニュース:香港のメディア業界に激震 新聞、雑誌など相次いで休刊
こちらは中国語の新聞だが、ウェブサイト上で休刊が発表されその理由として、無料新聞メディアが続々登場していることが挙げられていた。
その結果として、販売部数の下落や赤字の固定化といった問題が起こっていたらしい。
新報の発行元であるコングロマリットであるエンペラーグループの会長のアルバートギャン氏や、マカオのカジノ王であるスタンレーホー氏が株主であることも新報の特徴だが、こちらも廃刊の原因となった無料新聞を発行することに決め、マカオトゥディを2005年から2015年の5月まで発行していたという。
確かにチムシャツイの駅の近くやネイザンロードを歩いていると、新聞らしき物を配っているのをよく目にする。
最初は号外か何かかと思ったが、毎日配っているのでそういったわけではなさそうだし、かといってフリーペーパーというよりは明らかに新聞のような体裁で、お金を払っている人も居ないので不思議には思っていた。
これがどうやら無料新聞と言う物らしく、手渡して配っているところもあれば、駅においてあることもある。
日本では以前に”R25”というフリーペーパーが人気になったが、こちらも紙媒体での発行は止めたらしく、今ではウェブサイトのみになっている。
こういったフリーペーパー戦略は様々な国で展開されているし、私が住んでいるフィリピンであればセブポットやナビセブ、クーポン、プライマー等がある。
新聞という形態を取っているのは若干特殊ではあるが、恐らくこちらも広告収入がメインになるものと思われる。
新報以外にも老舗の有料の新聞が発行停止に追い込まれる例がいくつがあるらしく、そういった意味では、ジャーナリズムや報道の体制が香港において揺らいでいる。
とは言え、世界各国において紙媒体としての新聞は変化を余儀なくされており、ニューヨークタイムズ等の大手の新聞メディアであっても、如何にしてウェブ媒体でマネタイズするかということが重要なテーマになっている。
まして香港の場合、読者の層も限られているわけなので、そういった動きが顕著に出やすいのも納得がいくところである。
日本の場合は読売新聞や毎日新聞、朝日新聞等が劇的に動いているとはいえない状況だが、ある意味で言えばウェブへの移行についてこれていない高齢者層を大量に抱えていることが、のんびりとした変化を許容できる下地になっている。
ちなみに香港の無料新聞としては太陽報やAM730、メトロ都市日報、東方日報、アップルデイリー等がある。
なにしろ中国語で書かれているのでもらったところで読むことはできないし、今まで受け取ることはしなかったが、次に香港に行った時にでも、どういった点でマネタイズをしてるのか、というところを探るためにいくつかもらってみるのもいいかもしれない。
それほど特殊なキャッシュポイントを置いているとは思えないし、そもそも言葉が分からなくても理解できるような物しか察知することは出来ないが、それでも現物を手に取ると1つぐらいは発見があるかもしれない。
香港からセブに戻ってきたばかりだが、東京23区ほどの面積にぎゅっと人口を凝縮した香港と、いくつもの島によって構成され人々が分断されているフィリピンは全く環境が違う。
そんなことを思いながら、香港について考えてみるのもまた興味深い。