オックスファムが提示した貧富の格差の課題


年々富裕層の資産は増え、貧困層が生活苦から解放される兆しが全くみられないという報告は各所でされているが、なかなか数字では見えない部分もある。

さらにいうと、こういった統計は憶測でなされているものもあるので、かなり数字が操作されているのではないかと思う節もあり、一つの統計だけを見て鵜呑みにするわけにはいかない。

そんなわけで各機関が発表する数字を若干斜めの目線で眺めていたが、このほど国際的なNGOであるオックスファムが、「最も豊かな1%のための経済」という報告書を発表した。

これはスイスの金融機関の資産データなどをもとにまとめたもので、オックスファムの主張によると、世界の中でも最も裕福な上位62人の総資産が1兆7600億ドルにのぼるとされ、これは所得が下位の36億人分、つまりざっくり言うと、全世界の半分の人の総資産に匹敵すると発表している。

富裕層は財団を使ったりして寄付も行っているし、さらにいえば、法人などによって総資産の実態が見えづらかったりもするので、オックスファムの数字がどこまで真実に迫っているのかというのはかなり疑問な部分もある。

もともと貧困問題に取り組んでいる国際NGOということで、どちらかというと貧富の差の激しさ、つまり富裕層の不当な富み方、という部分に焦点を当てている可能性は否めないが、それにしてもショッキングな数字であることは間違いない。

なにしろ世界の中でも100人にも満たない、たった62人が世界の半分以上の貧しい人と同じだけの資産を持っているというのは、一般的な公平の感覚から見てもさすがにずれているような気がする。

個人的には社会主義のような平等は全く望ましくないと思うし、人によって提供している価値やイノベーションの大きさが違うことを考えれば、それなりに貧富の差がつくのは健全で当然だとも思っている。

実際、私の知り合いの富裕層達は朝も昼も夜も、なんだったら寝ている時もビジネスのことを考えていたりするし、社員を守るために死に物狂いで働いていたりもする。

そういった姿勢を見ていると、一般の社員の何倍もの給料をもらうということについては、何の不当さも感じない。

しかしながら、さすがに貧しい国の一般的な国民の数億倍の資産を持っているというのは、健全な範囲を逸脱している気がする。

特に富裕層の場合、金融のシステムやテクニックを使って資産を構築しているところもあり、これについてはピケティが指摘している通り、労働賃金の上昇率よりも、投下資金で得られる収益率のほうが高いため、どんどん差がついてしまう。

もちろん資本を投下すること自体が世の中にお金を供給するということで、これは言い換えればチャンスを生み出しているともいえる。

そういった意味で見返りがあること自体は当然だし、ローリスクで運用している人よりもハイリスクで運用している人のほうが、うまくいった時に報われること自体は自明の理だろう。

しかしながら、フィンテックや法人・財団の活用法などで、もはやわけのわからない節税法や、資産の構築法も生み出され、これはスターバックスやアマゾンなどの租税逃れにも繋がっているし、国際的な枠組みとしてシンプルで余計な抜け道のない仕組みを構築しない限り、この問題は続いていくのだろう。

そして結局のところ、こういった無駄に抜け道を探すこと自体、能力の高い人が行う仕事としては世の中に富を生み出さないわけなので、こういった余地をなくすことで本来有能な人がもっと別なところに人的資本を投下できるという意味でも、世界にとってプラスであるように思う。

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