
ホーチミンのブイビエン通りにあるCONGというバーのような店で夕食をとった後、ホテルでシャワーを浴びることにした。
途中でスルメを売っている屋台を見かけたので金額を聞いてみると、4万ドンだという。
日本円にすると200円程度。
物珍しさで買ってみると、まさに日本のスルメと同じ味がした。
東南アジアではこういった不意を突いての懐かしい味との遭遇がある。
ホーチミンでのスルメ以外にも、ラオスの首都ヴィエンチャンでの焼きトウモロコシ、バンコクやクアラルンプールでの蒸かしたサツマイモといった、素朴なものの味わいは意外と国境を越えて共有されている。
こちらには醤油がなさそうなものだが、意外に同じような味付けになっている。
ホテルに戻ってから軽くメールチェックを済ませてシャワーを浴び、寝る前にマッサージを受けてこようと再びファングーラオ通りのホテルを出てブイビエン通りに向かおうと思ったところ、急にホテルのスタッフが入り口のドアの前に立ちふさがるようにして鞄を指さしてきた。
鞄の取っ手の所をつかもうとしているので荷物チェックでもしようとしているのかと思ったが、ホテルに入るときならまだしも、出る時に荷物チェックというのも不思議な話。
例えばセブのマリオットホテルだと、セキュリティチェックのために入り口から入るときにわざわざ荷物検査をしていて、厳重な警備なのはいいが、宿泊した時には若干辟易とする部分もあった。
しかし今回のホーチミンのホテルでは、別にチェックアウトしようとしているわけでもなく、ただ単に夜にマッサージを受けに行くだけ。
鞄の中身をチェックするのはどうも不自然。
そんなふうに思っていたら、どうやらすりやひったくりに注意しろというアドバイスだったらしい。
親切な話だが、わざわざ入り口を塞ぐように立ちはだからなくてもいいのではないかという気がしないでもない。
なんにしても、ベトナム式マッサージを受けに行くわけだが、ファングーラオ通りとブイビエン通りの間の大通りを通る以外に、小道も意外に安全だというのがこの数日の滞在で分かっていたので、その道を通ってみることにした。
床屋などもあり、どうやら一般的な美容院以外のサービスもしているようだが、そちらは素通りして歩いていくと、ランチを食べた店のスタッフが私を覚えていたらしく声をかけてきたが、もう夕食は済んだと伝え、適当にブイビエン通りを歩いていると声をかけられたので、昨日と同じ店でマッサージを受けることにした。
こちらは14万ドンで日本円に換算すると約700円。
それで一時間しっかりとマッサージをしてくれるので、ホーチミンでの生活にはまってしまう日本人がいるのもわかる。
こちらは20代の若い女性がやってくれるのだが、意外に技術もしっかりしている。
オイルマッサージなのでバンコクであっても1200円程度はする。
そう考えると半分ちょっとの金額で、ホーチミンのほうが随分と格安ということになる。
しかもバンコクの場合、基本的に施術師はおばさんかおじさんになるので、そういった意味ではこちらのほうが触られることに違和感もない。
ホーチミン滞在中は毎日のようにマッサージを受けていたが、これはどちらかというとベトナム式マッサージが物珍しかったということもあり、またホーチミン滞在の日数が限られていたという面もある。
考えてみればタイにいる時であっても、もう最近は30日くらい滞在するのが常となっているので、さすがにタイ式マッサージが珍しいということもなくなり毎日通うことはなくなったが、週に二回くらいはそれでもマッサージを受けている。
20代の時は体がバキバキだったので、マッサージには痛みしか感じず、苦痛でしかなかったので結局何度か試したあとは敬遠していたのだが、30代も半ばになり体も心も丸くなってきたのか、マッサージに痛みを感じる頻度が劇的に下がり快感を得るようになった。
そうなってくると、やはり東南アジアはマッサージ代も安く、ますます居心地がよくなっている。
ホテルのスタッフの忠告通り、鞄には気を配っていたが、無事にホテルに戻ってくることができた。
明日には今度こそタンソンニャット国際空港からフバイ空港まで飛び、ホーチミンからフエへの移動となる。
当初の見込みと一日ずれてしまったが、これもまたご愛嬌ということで受け流しつつ、フエやベトナム中部の滞在を楽しんでいきたい。