新しい事を始めようとすると、人間のホメオスタシスが機能して、今までと同じ行動に引き戻そうとする方向へ自然と力が加わる。
ホメオスタシスは日本語に直訳すると恒常性となり、例えば、体温が一定の範囲内におさまろうとするのもまさにこの働き。
それと同じように、新しい習慣を得ようとすれば、獲得するまでの間には、必然的に葛藤が浮かぶ事になる。
そしてそれは必ずしも望ましくない方向への変化だけではなく、禁酒であったり、早起きのように健康にプラスに働くものの場合であっても関係なくホメオスタシスは牙をむいてくる。
一般によく言われる3週間続ければその後は挫折する可能性が低くなるというのも、まさにホメオスタシスが変化するまでの期間ということになる。
ちなみに、この3週間の他にも3日と3ヶ月という3のつく数字で人は継続を辞めてしまいがちという話もあるが、体験的にもかなり的を射ているのではないかと感じる。
それはそうとして、気合いや根性で心理的な抵抗を乗り越え、潜在意識的にはやりたくないと思っている事を無理矢理実行して行くのは中々厳しい。
例えば、1日30分資格の勉強をしようと思っても、3週間も経たずにどこかでさぼってしまうことは多々ある事だし、そう言った経験を持っている人は多い事だろう。
しかしながら、根性論ではなく、そもそも挫折しづらい環境を構築するという事に焦点をずらしてみると、習慣化という武器を手にする事ができる。
習慣化という強み
例えば、歯を磨くとか、シャワーを浴びるとか、そういった既に日常の習慣の一部になっている事とセットで組み合わせる事によって、新しい習慣を定着させるのは一つの方法。あるいは、ジョギングのようにちょっとした用意が必要なものであれば、前日にウェア等を準備しておくことによって、少しでも抵抗無く実践できる環境を普段から整えておくとか、人と一緒に待ち合わせをして走りに行くことで、孤独な作業に耐えられない状況に陥るのを防ぐとか、そう言った環境を作る手もある。
友人でジョギングに付き合ってくれる人がいないのであれば、Facebookグループ等のコミュニティに入って仲間を探すとか、あるいは自分で情報を発信して挫折を防止するとか、そういった環境を作る手もある。
資格の勉強の例にしても、朝のうちに勉強するのであれば、朝活のグループに入ってその中で適度な緊張感を持ってカフェで勉強するとか、あるいは仕事帰りに図書館によって30分参考書を開く時間を習慣にするとか、そう言った手もある。
元々私自身も飽き症だし、アーユルヴェーダで分析するとヴァータという性質からも分かるように、一つの事を何年もずっと続けるというよりは、しばらくやったら飽きて、他の事に興味を持ってしまいがちなタイプ。
ある意味で言えば、多動性と言うこともできる。
しかしそんな私でも、例えばストレッチであればもう15年以上毎日欠かさず行っているが、それは完全に習慣化したから。
どんなに飽きっぽい人でも毎日食事をするとか、寝るとか、歯を磨くとか、そういった継続的な習慣はあるものなので、環境さえ構築すれば続けられないものではない。
そしてそれは精神論に頼るのではなく、むしろ技術に置き換える事で、人体に元々備わっているホメオスタシスに支配される事なく、その重力から飛び立つ事が容易になる。