大人に限って自分に投資できていない


日本人の貧困化、さらに言えば中流階級の崩壊が叫ばれて久しい印象があるが、その一方で子ども一人当たりの教育費はむしろ増加傾向にあるという。

少子高齢化によって、1世帯当たりの子供の人数も減っているので、その子供にかけられるお金が増えているのだろう。

さらに言えば、先行き不安な時代を生き抜くために、いろいろと子供に学ばせておきたいという親心も関わっているように思う。

しかしながら、子供を学習塾に通わせたり、あるいはピアノや水泳やサッカー等の習い事をさせたとしても、それが将来に対してどれだけのインパクトを持つかはほぼ計測できない。

そういった経験が糧になって、大人になってから役に立っている場合もあるが、そうではない場合も多々ある。

特に幼児教育は才能の限界を制約しないために重要ではあるが、中学生とか高校生ぐらいになってくると、親の方針とか家庭の及ぼせる役割もたかが知れてくるし、習い事をしたところでそれが将来どれだけの意味を持つか疑問になってくる。

それでも子供に様々な習い事をさせるため、月に数千円代後半、あるいは数万円を拠出する家庭は珍しいことではなく、むしろ一般的であるとすらいえる。

ではその一方で、親が自分自身に投資をしているかといえば、そんなことはかなりまれで、せいぜいたまに本を買って読むぐらいとか、千円のビジネス書を自己投資として購入するぐらいで、それ以上の学びはほとんどないということもざらにある。

これは完全に異常事態。


教育の投資効果が高いのは大人

言ってみれば子供の頃というのは人生の準備段階にすぎず、大人になってからが本番であるはず。

そもそも子供は半人前で、社会的に見ても自立できていないわけなので、社会の構成員としては大人になってからの活躍が期待されるので保護しておく相手という位置づけになる。

逆に大人はまさに社会を支える立場であり、自分自身の人生を生き抜く時期でもある。

当然ながら実践をこなしていけば自分に足りないものもたくさん見えてくるわけだし、その不足分を補うためにはただ単に仕事を頑張ればいいということではなく、時には費用をかけて学ぶことも、次のステップに進むために必要になる。

しかしながら、月に1万円を自己投資している社会人がどれだけいるのだろうか。

しかもそれが的を射ているものとなると、さらに割合が減ってしまうのではないだろうか。


的はずれな資格取得

私自身も社会人になった直後、ビジネス実務法務検定の2級とか行政書士とか、将来何のために使うのかよくわからない資格の勉強や受験をしたが、これは完全にお金も時間も労力も無駄にしたことにしかならない。

実際、独立してからこれらの知識が役に立ったことは一度もなく、ただ単に大学が法学部だったので、法律系の資格だったら取りやすそうという理由でチャレンジしたに過ぎない。

大人になってからの資格の勉強は、こういった理由で行われていることがかなり多いのではないかと思う。

むしろその道で一流になることとか、生き残っていけるような一線級のプロになるとか、そういった目的で日々鍛錬を行っている大人は意外にも少なく、むしろ子供に偉そうに何かを言えるような立場ではないのではないかと思ってしまう。

子供は意外にも学ぶことに対しては多くの時間と労力を割いている。

小学生であっても、高学年になれば朝から午後の2時とか3時くらいまでは学校に拘束されるわけだし、さらに言えばそこから習い事や塾に行ってインプットを繰り返すことになる。

大人はそこまでするだろうか。

平日は仕事があってそれどころではないにしても、休日になってもゴロゴロとしているとか、どうでもいい趣味に勤しんでいるとか、飲み歩いているとか。

とても生産的とは言えない行動をとって一生を終える人が大半であることを考えると、自己投資をすべきは大人であって、子供の教育費を単なる計測不可能な楽観的観測につぎ込むよりは、まずは親自身がしっかりと学ぶ姿勢を背中で見せる方が、よほど子供の将来にプラスになると思ってしまう。

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